工場の求人を見ていると、同じような仕事内容でも「正社員」と「派遣社員」が並んでいることがあります。
しかも、派遣の方が時給だけを見ると高く見えることもある。
すると、
「給料が高そうな派遣の方がいいのか」
「将来を考えたら正社員の方がいいのか」
「結局、どっちを選べばいいのか」
と迷います。
俺は18歳で工場の正社員になり、その後は派遣として工場でも働きました。
正社員だったころの年収は約240万円。手取りは月18万円ほどで、賞与は1か月分ほどを年1回もらっていました。
工場派遣のころは年収が約230万円で、その中には夜勤手当と残業代も入っていました。
年収だけを並べれば約10万円の差です。
でも、この2つを経験して思うのは、正社員と派遣は「年収がどちらの方が高いか」だけで選ばない方がいいということです。
同じ230万円、240万円でも、基本給で稼いでいるのか、夜勤や残業を含めてその金額になっているのかでは意味が違います。
この記事では、工場を運営する会社に直接雇われる正社員と、派遣会社に雇われて工場で働く派遣社員を比べます。
どちらが上かを決めるのではなく、今の自分にはどちらが合うのかを判断できるように整理します。
工場の正社員と派遣は、結局どっちがいい?
最初に結論を言うと、長く同じ会社で働くことや、昇給・役割の広がりを重視するなら正社員を比較した方がいいです。
一方で、
- 勤務地や勤務時間などの条件を先に絞りたい
- まず工場の仕事を経験してみたい
- 一つの会社に長く残ることを最優先にしていない
という場合は、派遣も選択肢になります。
ただし、
「正社員だから安定」
「派遣だから高時給」
「正社員なら必ず賞与がある」
「派遣なら責任が軽い」
と名前だけで決めるのは危険です。
会社や契約によって条件は違います。
この記事では、次の7つで比べます。
- 誰と雇用契約を結ぶか
- 給料の中身
- 賞与や手当
- 契約の安定
- 仕事内容と責任
- 身につく経験と将来
- 自分が何年後にどう働きたいか
まず知っておきたいのは「誰に雇われるか」の違い
正社員と派遣の一番分かりやすい違いは、雇用契約を結ぶ相手です。
この記事でいう正社員は、実際に働く工場を運営する会社に直接雇われる正社員です。
一方、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の工場で指示を受けて働きます。
厚生労働省も、労働者派遣について「派遣元と労働者の間に雇用関係があり、派遣先との間には指揮命令関係がある」と説明しています。
この違いは、求人を見るときにかなり重要です。
「正社員」と書いてあっても、工場の正社員とは限らない
工場求人では、「正社員」と書かれていても、雇用主が派遣会社になっている求人があります。
たとえば、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結び、別の工場へ派遣される働き方です。
厚生労働省の資料でも、派遣元と派遣労働者の契約には、期間の定めがある契約と、期間の定めがない契約の両方があると説明されています。
だから求人を見るときは、
「正社員かどうか」より先に「どの会社に雇われるのか」
を確認した方が分かりやすいです。
メーカーや工場運営会社の直接雇用なのか。
派遣会社の社員として別会社の工場へ行くのか。
ここを混ぜると、正社員と派遣の比較そのものがずれてしまいます。
俺は正社員で約240万円、派遣で約230万円だった
俺自身の経験を比べると、年収だけなら大きな差には見えませんでした。
| 比較 | 工場正社員 | 工場派遣 |
|---|---|---|
| 年収 | 約240万円 | 約230万円 |
| 給料について確認できていること | 手取り約18万円 | 夜勤手当・残業代込み |
| 賞与 | 約1か月分を年1回 | 本人経験として未確認 |
| 雇用 | 工場の正社員 | 派遣 |
| 本人が感じていたこと | 給料と将来の見えなさが気になった | 年収には夜勤・残業分も含まれていた |
この数字だけを見ると、
「それなら正社員の方が少し高かった」
で終わりそうです。
でも、本当に見るべきなのはそこではありません。
年収が近くても、稼ぎ方は同じではなかった
派遣時代の約230万円には、夜勤手当と残業代が入っています。
つまり、その年収を維持するために夜勤や残業がどのくらい必要なのかを見る必要があります。
一方、正社員だったころには賞与がありました。
だから、
「月収が高く見える方を選ぶ」だけでは、本当の条件比較になりません。
基本給や時給。
夜勤をしなかった場合。
残業をしなかった場合。
賞与。
昇給。
勤務時間。
今の俺なら、給料だけでなく、勤務時間や仕事に取られる時間まで含めた条件全体で比べます。
工場の給料そのものを詳しく確認したい場合は、工場勤務の給料は安い?平均年収と給料を見るときの5つのポイントで整理しています。
正社員と派遣を比べる7つのポイント
ここからは、求人を見るときに何を比べればいいかを順番に整理します。
1.雇用主はどこか
最初に見るのは給料ではなく雇用主です。
正社員求人なら、
「この工場を運営する会社の直接雇用なのか」
を確認します。
派遣求人なら、
「どの派遣会社と雇用契約を結ぶのか」
を確認します。
派遣の場合、実際の勤務先と雇用主が違います。
給料や雇用に関する手続きは派遣元、仕事の指示は派遣先という関係になります。
ここを理解しておくだけでも、求人票がかなり読みやすくなります。
2.月収ではなく「何を含んだ金額か」を見る
工場求人では、
「月収30万円可能」
のような金額が目立つことがあります。
でも、その金額に、
- 夜勤手当
- 残業代
- 休日出勤
- 各種手当
がどこまで含まれているのかは確認した方がいいです。
俺の派遣時代も、年収約230万円には夜勤手当と残業代が含まれていました。
だから俺なら、
「残業や夜勤をしない場合はいくらになるのか」
を確認します。
正社員でも派遣でも同じです。
見かけの月収より、「通常勤務だけならいくらか」を見た方が比較しやすくなります。
3.賞与・昇給・手当は「あるか」ではなく条件を見る
正社員だから必ず賞与が出るわけではありません。
派遣だから必ず賞与がないとも言い切れません。
制度は会社や契約によって違います。
厚生労働省によると、派遣労働者の待遇についても、派遣元には「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかによって待遇を確保することが義務づけられています。
だから、
「派遣だから待遇は全部悪い」
と決めるのも違います。
求人ごとに、
- 賞与
- 昇給
- 交通費
- 退職金に関する制度
- 各種手当
を確認します。
大切なのは雇用形態のイメージではなく、自分が応募する求人の条件です。
4.契約期間と更新条件を見る
工場の直接雇用の正社員を選ぶ大きな理由の一つは、長く働くことを前提に考えやすいことです。
一方、派遣は期間の定めがある契約の場合もあれば、派遣元との契約に期間の定めがない場合もあります。
つまり、
「派遣=必ず短期契約」ではありません。
有期契約の場合は、
- 契約期間
- 更新の有無
- 更新を判断する条件
- 派遣先が変わった場合の扱い
を確認します。
厚生労働省も、派遣労働者と派遣元の労働契約には、有期と無期の両方があるとしています。
長く同じ環境で働きたいなら、ここはかなり重要です。
5.仕事内容と責任が今後どう変わるかを見る
派遣では、契約で業務内容が決まっています。
正社員の場合は、長く働く中で担当業務が増えたり、配置が変わったり、役割が広がったりする可能性があります。
ただし、
「仕事が増える=良い」
とも限りません。
責任を増やしたい人もいれば、決められた範囲の仕事をしたい人もいます。
俺なら、
「3年後にどんな仕事をしている可能性があるか」
まで確認します。
管理や教育をしていきたいのか。
現場作業を続けたいのか。
仕事内容を限定したいのか。
ここで正社員と派遣の向き不向きが変わります。
6.何が身につくかを見る
給料と同じくらい大切なのが、
その仕事を続けたときに何が残るか
です。
俺自身、工場で働いていたころに、
今の仕事を続けた先で、別の会社でも使える経験が増えていくのか不安でした。
正社員だから自動的にスキルが増えるわけでも、派遣だからスキルが身につかないわけでもありません。
担当する仕事によります。
だから、
- 別工程を経験できるか
- 設備操作を覚えられるか
- 検査や品質に関われるか
- 人を教える役割があるか
- 今よりできる仕事が増えるか
を確認します。
スキルへの不安が強い場合は、工場勤務はスキルが身につかない?『他社で通用するものがない』と不安な人へで、自分の経験を棚卸しする方法をまとめています。
7.3年後にどんな働き方をしたいかを見る
最後はこれです。
正社員と派遣のどちらが得かではなく、
3年後に自分がどう働いていたいか
を考えます。
同じ会社で役割を増やしていきたい。
毎月の収入を安定させたい。
昇給や昇格も狙いたい。
そう考えるなら、工場の直接雇用の正社員を比較する意味があります。
一方で、
勤務地や時間などの条件を優先したい。
今は一つの会社へ長く残ることを決めていない。
まず工場の仕事を経験してから考えたい。
という場合は、派遣という選択肢もあります。
「このまま工場で働き続けて大丈夫か」という不安が大きい場合は、工場勤務に将来性はない?このまま続けて大丈夫か不安な人へも参考にしてください。
正社員を先に比較した方がいい人
次のような人は、工場の直接雇用の正社員から比較してみるといいと思います。
- 一つの会社で長く働きたい
- 月ごとの収入だけでなく賞与や昇給も含めて考えたい
- 将来的に担当や役割を広げたい
- 数年後の役職や仕事内容まで考えたい
- 勤務先が変わる可能性をなるべく減らしたい
ただし、「正社員なら安心」と名前だけで決めないことです。
正社員でも、給料が上がらない、仕事内容が合わない、将来像が見えないことはあります。
求人票だけでなく、
「この会社で3年働いたらどうなっているか」
まで考えます。
派遣を比較してもいい人
一方、次のような人は派遣も候補になります。
- 勤務地や時間帯などの条件を先に絞りたい
- 今は長期で一社に残ることを最優先にしていない
- まず工場勤務を経験してから判断したい
- 求人ごとの時給や手当を比較したい
- 契約内容を理解したうえで働き方を選びたい
ただし、時給の高さだけでは選びません。
夜勤や残業を含めて高く見えていないか。
契約更新はどうなっているか。
何年働いても仕事の幅が変わらないのか。
このあたりまで確認します。
夜勤込みの求人を検討している場合は、工場の夜勤がきつい・辞めたい人へも先に確認しておくと判断しやすくなります。
求人を見るときは、この7項目だけ並べる
正社員と派遣で迷ったら、求人を一つずつ眺めるより、同じ項目で並べて比べた方が分かりやすいです。
スマホのメモでも構いません。
次の7項目を書きます。
- 雇用主
- 基本給または時給
- 夜勤・残業なしの場合の収入
- 賞与・昇給・手当
- 契約期間と更新条件
- 仕事内容と今後増える役割
- 3年後にどう働けそうか
正社員求人を3件。
派遣求人を3件。
これだけ並べてみてください。
すると、
「派遣の方が時給は高いけれど夜勤前提だった」
「正社員でも賞与がほとんどなかった」
「この派遣求人なら自分の希望時間に合う」
「この正社員求人なら仕事の幅を増やせそう」
という違いが見えてきます。
「正社員か派遣か」より、「自分が何を優先するか」を先に決める
正社員と派遣の比較で一番難しいのは、どちらにも良い面と注意点があることです。
だから、先に自分の優先順位を決めます。
たとえば、
「今は年収を上げたい」
なら、雇用形態ではなく実際の年収条件を比較します。
「夜勤を減らしたい」
なら、正社員か派遣かより勤務体系を見ます。
「将来が不安」
なら、昇給・役割・身につくものを見ます。
「今の工場以外も知りたい」
なら、工場の正社員と派遣だけに絞らず、別の仕事も比較します。
工場からどんな仕事へ移れるか知りたい場合は、工場からの転職先|自分に合う選び方と6つのパターンで選択肢を整理しています。
今日やるなら、正社員3件・派遣3件を同じ項目で比べる
この記事を読んで、
「自分は正社員向きかな」
「派遣の方がいいかな」
と考えるだけでは、まだ答えは出ません。
今日やるなら、求人を6件だけ見てください。
正社員3件。
派遣3件。
そして、
- 雇用主
- 夜勤・残業なしの収入
- 賞与や昇給
- 契約期間
- 勤務時間
- 仕事内容
- 3年後に増えそうな役割
を同じ順番で比べます。
ここまでやれば、
「正社員だから」
「派遣だから」
というイメージではなく、実際の条件で選べるようになります。
まとめ|工場の正社員と派遣は、年収だけで決めない
工場で働くなら正社員と派遣のどちらがいいのか。
俺は両方を経験しましたが、全員に同じ答えがあるとは思っていません。
俺の場合は、工場正社員で年収約240万円、工場派遣で約230万円でした。
でも、派遣の約230万円には夜勤手当や残業代が含まれていました。
だから、10万円の年収差だけ見ても本当の違いは分かりません。
正社員と派遣で迷ったら、
誰に雇われるのか。
通常勤務だけならいくらなのか。
契約はどうなっているのか。
何が身につくのか。
3年後にどう働いていたいのか。
まで比べます。
長く同じ会社で役割を増やしたいなら、直接雇用の正社員を比較する。
勤務地や時間などの条件を優先したいなら、派遣も比較する。
どちらを選ぶ場合でも、名前だけで決めず、実際の求人条件で比べてください。
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