毎日同じ作業をしている。
仕事にはもう慣れたけれど、「この経験って、今の会社を出たら何の役に立つんだろう」と考えると不安になる。
資格もない。人に説明できるような特別な技術も思い浮かばない。
だから転職サイトを開いても、
「自分にできる仕事なんてあるのかな」
と思って閉じてしまう。
俺自身、工場で働いていたころに「この仕事を続けても、他の会社で使えるものが身につかないかもしれない」と感じていました。
自分の中で「身についたものは?」と聞かれて、すぐ思い浮かぶのはフォークリフトの運転くらいでした。
その後、工場以外の仕事にも移りましたが、「工場で働いていたから営業でも直接役立った」と無理に言えるような実感はありません。
だからこの記事では、「工場勤務でもこんなスキルが身につきます」と安心させるだけの話はしません。
まず、今までやってきた仕事を分解して、本当に他の会社でも使えるものがあるのかを確認する。
何も見つからなければ、これから何を増やせばいいのかを考える。
その順番で整理します。
工場勤務は本当にスキルが身につかないのか
結論から言うと、工場勤務だからスキルが身につかないとは言い切れません。
ただし、工場で何年働いても、自動的に「どこでも通用するスキル」が増えるとも限りません。
ここを分けて考える必要があります。
厚生労働省の「職業能力評価基準」では、仕事をこなす能力を、資格だけではなく「知識」「技術・技能」「成果につながる職務行動」まで含めて整理しています。
つまり、「資格を持っていない=何の能力もない」ではありません。
一方で、毎日同じ作業を言われた通りに続けているだけで、担当できる仕事の幅も判断する場面も何年も変わっていないなら、「このままでいいのか」と不安になるのも自然です。
大事なのは、「工場勤務にはスキルがある・ない」と一般論で決めることではなく、自分が入社してから何ができるようになったのかを見ることです。
資格がないから「スキルなし」とは限らない
転職を考えたとき、分かりやすいのは資格です。
資格名があれば履歴書にも書けますし、自分でも「これができる」と認識しやすくなります。
でも、仕事で身につくものは資格だけではありません。
たとえば一般論として、
- 決められた手順どおりに品質を保つ
- 異常が起きたときに報告・確認する
- 複数の工程や設備を扱う
- 納期や生産量を意識して作業する
- 新人へ作業を教える
- 不良やムダを減らすために改善する
といった経験もあります。
ただし、「工場で働いていたから自動的に全部身についている」という意味ではありません。
自分が実際に経験したことだけを拾う必要があります。
「工場で3年働いた」だけでは、自分の強みは分からない
「工場勤務3年」
これだけでは、その人が何をできるのかは分かりません。
同じ3年でも、
一つのライン作業だけを担当していた人と、複数工程を担当して設備トラブルにも対応していた人では経験が違います。
だから年数だけを見るより、
その期間に何を任され、何を判断し、何ができるようになったか
を見る方が大切です。
俺も「他社で使えるものがない」と感じていた
俺は18歳で工場の正社員になり、その後は派遣の立場でも働きました。
当時は、仕事そのものを楽しいとは感じていませんでした。
それと同時に、
「このまま続けて、他の会社でも使えるものが増えるんだろうか」
という不安もありました。
思い浮かんだのはフォークリフトの運転くらいだった
自分に何が身についたかを考えても、当時の俺がすぐ答えられたのはフォークリフトの運転くらいです。
だから、「何年も働いているのに、自分には何もない気がする」という感覚は分かります。
ただ、今振り返ると、ここで一つ間違えやすいことがあります。
それは、
思い浮かばないことと、本当に何もないことは同じではない
ということです。
逆に、本当に仕事の幅が増えていないケースもあります。
だから「工場経験は絶対に評価される」と決めつけるのでも、「自分には何もない」と決めつけるのでもなく、一度棚卸しした方がいいです。
工場経験が別の仕事で直接役立った、と無理に言うつもりはない
俺はその後、工場以外の仕事も経験しました。
でも、「工場で働いていた経験が、そのまま営業の仕事で役立った」と言えるような実感は特にありません。
工場経験なら何でも異業種で評価される、と言ってしまうのは違うと思っています。
ただし、
「直接使える専門技能がない」
ことと、
「これまでの仕事から説明できる経験が何もない」
ことも別です。
ここからは、この2つを分けて考えます。
工場で身についたものを3つに分けて考える
「スキル」という言葉を一つにまとめると分かりにくいので、3つに分けます。
1.その仕事で直接使う技術・知識
一つ目は、業務そのものに必要な技術や知識です。
たとえば、設備の操作、検査、保全、溶接、フォークリフトの運転などです。
これは同じ製造業や近い仕事へ移るときに、そのまま評価されやすいものです。
ただし、何が該当するかは職場によって違います。
「工場勤務だからこの技能がある」とは書けません。
自分が実際に担当していた仕事を基準にします。
2.仕事の進め方として身についたもの
二つ目は、特定の機械を使う能力ではなく、仕事を進めるときの能力です。
厚生労働省のjob tagでは、「ポータブルスキル」を、業種や職種が変わっても強みとして発揮できる持ち運び可能な能力と説明しています。
職業情報提供サイト job tag「ポータブルスキル見える化ツール」
ただし、このツール自体は特にミドルシニア層のホワイトカラー職種を想定したものです。
そのため、「工場勤務ならこの診断をやれば答えが出る」とまでは言いません。
考え方として大事なのは、専門資格以外にも、
- 状況を把握する
- 課題を見つける
- 計画を立てる
- 納期を守って仕事を進める
- 状況の変化に対応する
- 上司へ報告する
- 周囲と調整する
- 人を教える
といった仕事の進め方があることです。
自分の工場勤務の中で本当に経験しているものがあれば、それは棚卸しの対象になります。
3.今の会社でしか通じない「慣れ」
三つ目は、今の会社の中では仕事ができるけれど、外へ出たときにそのまま使えるとは限らないものです。
たとえば、
「このラインなら何も考えなくても体が動く」
「社内独自のやり方を全部覚えている」
という状態です。
もちろん、長く働いて身につけた大切な経験です。
でも、それだけでは別の会社へ持っていける能力なのか分かりません。
ここを「経験年数が長いからスキルがある」と混同しない方がいいです。
「自分にはスキルがない」を確かめる4ステップ
ここから実際に棚卸しします。
難しく考えず、紙やスマホのメモで十分です。
1.毎日やっている仕事を全部書く
まず、「製造」「ライン作業」のように大きくまとめず、実際にやっていることを書きます。
たとえば、
- 材料を準備する
- 機械を操作する
- 数値を確認する
- 完成品を検査する
- 梱包する
- 異常があれば止めて報告する
- 作業記録を書く
- 新人へ手順を説明する
というように分けます。
ここでは「大したことじゃない」と判断せず、まず書き出します。
2.その中で「判断していること」を探す
次に、
「自分で考えたり判断したりしている場面はどこか」
を見ます。
決められた手順どおりに作業していても、
- いつ異常と判断するのか
- 何を見て不良と判断するのか
- どのタイミングで上司を呼ぶのか
- 作業が遅れたときにどう調整するのか
など、判断する場面があるかもしれません。
逆に、ほとんど判断する場面がなく、何年働いても担当範囲が変わっていないなら、それも重要な事実です。
3.入社したころより「できるようになったこと」を探す
入社初日と今を比べます。
最初はできなかったけれど、今は一人でできる。
任される工程が増えた。
人に説明できるようになった。
トラブルが起きても慌てなくなった。
こうした変化があれば、「経験によって増えたもの」が見えてきます。
ここで何も思い浮かばないなら、
「今の環境でこれ以上何が増えるのか」
を考えるきっかけになります。
4.希望する仕事で使えるかを確認する
最後に、自分が持っているものを「転職で使えるはず」と想像だけで決めないことです。
厚生労働省のjob tagには、自分のスキルや知識などから「しごと能力プロフィール」を作り、職業を探したり、希望する職業と比較したりする機能があります。
また、キャリア分析では、自分が持つスキル・知識と、希望する職業で求められるものの類似性やギャップを確認できます。
「自分は正確性があるからどこでも通用するはず」と決めるのではなく、行きたい仕事が何を求めているかと比べるところまでやると、次に必要なものが見えやすくなります。
「正確性」「責任感」だけで終わらせない
工場勤務で身につくスキルとして、
「正確性」
「責任感」
「チームワーク」
と書かれている記事はよくあります。
ただ、転職するときに、
「工場勤務で正確性が身につきました」
だけでは弱いです。
大切なのは、なぜそう言えるのかを自分の仕事で説明できることです。
たとえば一般例として、
「検査を担当し、どの項目を確認して、異常時にはどう対応していた」
まで説明できれば、ただ「正確性があります」と言うより仕事の中身が伝わります。
一方で、経験していない改善活動や新人教育を「工場勤務なら普通にやっているだろう」と追加してはいけません。
棚卸しは、自分を大きく見せる作業ではありません。
実際にやったことに名前をつける作業です。
棚卸ししても本当に何も増えていないと感じたら
棚卸しをした結果、
「やっぱり同じ作業しかしていない」
「入社したころと担当範囲がほとんど変わっていない」
と気づくこともあります。
その場合も、落ち込むための材料にする必要はありません。
これから何をするかを決める材料にします。
今の会社で仕事の幅を増やせないか確認する
別工程を覚えられないか。
設備操作や検査など、今までと違う仕事を担当できないか。
新人教育や改善活動に参加する機会はないか。
今の会社に残るなら、「あと2〜3年ここにいたら何ができるようになるのか」を確認しておくと判断しやすくなります。
資格は「取れそうだから」ではなく、使う場所から逆算する
資格を取ること自体が目的になると、
「資格は増えたけれど、やりたい仕事には使わなかった」
となることがあります。
先に、
「今の会社で役割を広げたいのか」
「別の工場へ行きたいのか」
「工場以外へ行きたいのか」
を決め、その仕事で必要とされる資格や技能を確認してから選ぶ方が無駄が少なくなります。
今の会社で増やせないなら、外の仕事を見てみる
転職を決める必要はありません。
まず求人を見て、
「どんな経験が求められているのか」
を確認します。
そこで自分に足りないものが分かれば、今の会社にいる間に増やすこともできます。
工場からどんな仕事へ移れるのかを先に知りたい場合は、工場からの転職先|自分に合う選び方と6つのパターンで選択肢を整理しています。
「スキルがないから転職できない」と決める前に外を見る
工場しか経験していないと、
「どうせ自分は工場しか無理だ」
と思いやすくなります。
俺自身も、工場の外で働くことを考えていたとき、「これまでの経験が外で通用するのか」と不安に思っていました。
でも、評価されるかどうかは、今の職場の中だけで考えていても分かりません。
まず求人を見ます。
必要な経験を見る。
自分が持っているものと比べる。
足りないものを見る。
ここまでなら、会社を辞めなくてもできます。
「このまま工場を続けて大丈夫か」という不安そのものが大きい場合は、工場勤務に将来性はない?このまま続けて大丈夫か不安な人へで、3〜5年後の仕事・給料・役職・技能などから判断する方法を整理しています。
今日やるなら、この5つを書き出す
この記事を読んだあとに、
「なるほど、自分にも何かあるかもしれない」
で終わらせないでください。
今日、次の5つだけ書いてみてください。
- 毎日やっている作業
- 自分で判断している場面
- 入社したころよりできるようになったこと
- 人から任されるようになったこと
- 気になる求人で求められている経験
ここまで書けば、
「本当に何もないのか」
それとも、
「あるけれど、自分でスキルだと認識していなかったのか」
が少し見えてきます。
もし本当に増えていないなら、それも答えです。
次は「この会社で増やすか」「別の環境を見るか」を考えればいいです。
まとめ|「スキルがない」で止まらず、まず自分の仕事を分解する
工場勤務だからスキルが身につかない、と一括りにはできません。
厚生労働省の職業能力評価基準でも、仕事の能力は資格だけではなく、知識・技術や技能・仕事の中での行動まで含めて整理されています。
一方で、工場に長くいれば自動的に他社で通用するものが増えるわけでもありません。
だから、
「工場勤務だから大丈夫」
とも、
「工場勤務だから何もない」
とも決めつけない方がいいです。
俺自身、当時は身についたものとしてフォークリフトの運転くらいしか思い浮かばず、「他の会社で使えるものが増えていないのでは」と感じていました。
そして、工場以外へ移ったあとも、工場経験がそのまま別職種で役立ったと無理に言うつもりはありません。
だからこそ大切なのは、
実際に何をして、何を判断し、何ができるようになったのか
を一度書き出すことです。
そのうえで、行きたい仕事が求めるものと比べる。
足りないものがあれば、今から増やす。
まずはそこからで十分です。
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